完璧に整えられた美は、しばしば近寄りがたい静謐をまとい、私たちを遠ざける。
その無垢さの奥には、時を拒むかのような冷たさが潜んでいる。
だが、崩れかけたものの中には、むしろ揺るぎない真実がある。
欠けゆく輪郭、歪みを帯びた線、朽ちていく質感。
それらは、時に削られ、刻まれ、静かに姿を変えながら、存在の証しを刻んでいく。
不完全さこそが、美をより深く、真摯なものにする。
そこには想像の余白があり、見る者の心とともに、過ぎ去った時間やまだ来ぬ時間を呼び覚ましていく。
美はとどまるのではなく、時とともに移ろい続ける。
その変化の中にこそ、永遠に触れる瞬間が宿るのだ。